◆6人目 安心と調和を引き出すリーダーシッププロデューサー 近藤 藤近さん◆
 
そんな感動の空気で会場が包まれたなか、最後に登場したのが、真っ赤なシャツに黒いスーツ、赤い花のコラージュをつけた格好いい男性です。
 
近藤さんは最初に、尾崎豊の『僕が僕であるために』を熱唱し、その後の安達さんとのトークで、「尾崎ナイト」という、尾崎豊の曲ばかりを4時間くらいカラオケで歌う会を主宰しているという情報が明かされます。
 
 
その会を主宰している理由は
 
「人前でカラオケで歌うのは苦手だったけれど、一人で歌うのは好きだった。
それで一人カラオケに行き、尾崎豊の曲ばかり2時間歌ったら、とても気持ち良かった。
それで、この気持ちよさを他の人とも共有したいと思った。
尾崎豊の曲を好きな人だけ集めて、尾崎豊の曲ばかりを歌う会があれば、自分も苦手意識を持たずに参加できるだろうと思って、尾崎ナイトは始めた」
 
とのこと。
 
 
「なんだ、自分のためだったの?(笑)」
「9割がたは……」
 
と、最初のトークは軽快です。
 
でも、照明が暗くなり、近藤さんが一人で語り始めた内容は非常に心に迫ってくるものでした。
 
 
「僕は22年間、会計事務所に勤めていました。
最後のほうは、コンサルタントのようなこともし、経営がうまくいっていない会社に立て直しのアドバイスなどもしました。
 
担当した企業に、小さな縫裁会社がありました。
いつ倒産してもおかしくない状況で、時代の流れもあり、売り上げを上げるのは難しいと思われたので、僕は『売り上げを上げられないなら、費用を削るしかない』と、人員削減をずっと求めていました。
でも、社長は、『人は切らん』と、僕の提案をずっと断り続けました。
 
 
そんななか、その社長が死にました。自殺でした。
 
保険金は社員を守るために使って欲しいという遺書がありました。
 
僕はそれを知ったとき、自分は、社長が命を懸けてまで守りたかったものを、否定するようなことを言い続けていたのだと、ショックを受けました。
 
 
僕はそれまで、数字のことばかり言っていました。
 
でも、その件があってから、外の勉強会などにも参加するようになり、『どうしたらしあわせになるか』『しあわせな会社を作れるか』を考えるようになりました。
 
でも、それは、会社が求めているものとは違っていました。
 
 
だから、次第に僕は会社で居場所がなくなってきました。
 
会社は僕に、変われと要求しているようなものでした。変わらなければ、会社に居場所はないと。
 
僕は、居場所がなくてつらい、でも変わりたくもない、そんな板挟みのつらい状態が続きました。
 
 
そのとき、『そのままのこんちゃんでいい』と僕の背中を押してくれたのは、外の勉強会で知り合った人たちでした。今日もその人たちが応援に来てくれています。
 
僕はみんなに応援され、進めました。
 
だから、今度は、真っ先に誰かを応援できる人になりたいと思っています」
 
 
そして、「一人一人様々な経験をして、それが積もり積もって、みんな、その人にしか出せない光があるって、僕は思うんです」と話し、『ボクがあなたに伝えたいこと』という歌を披露します。
 
「ボクはあなたをあきらめない。
あなただけの光を知っているから」
 
「ボクは自分をあきらめない。
ボクだけの光を知っているから」
 
「あなたが無理だと思うハードルを、ボクが軽々と超えてみせる
きっとボクが無理だと思うハードルも、誰かが軽々と超えてくれる」
 
という歌詞が、胸にぐいぐい迫ってきます。
 
 
トークの時点で、もう涙がこぼれてきていたのですが、歌を聴いたら、さらに涙があふれてきました。
 
そして、会場全体が感動の渦に巻き込まれたようになり、ギターやドラムの音と、近藤さんの歌声と、会場の人たちの想いが一つの波になったように、ぐわんぐわんと波打ち、魂をぐっとつかまれたようになりました。
 
 
最初は、「社長が亡くなったという話が悲しくて」とか、「疎外感を味わっている近藤さんの気持ちが痛いくらいわかって」とか、「だからこそ人を励まそうとする心が純粋すぎて」とか、何かしら理由があって泣いていたはずが、次第に、泣いている理由が分からなくなり、でも、涙が止まらない感じになってきました。
 
きっと、これがライブの一体感なんでしょうね。
 
近藤さんの歌の力も、本当にすごかったのですが、でもそれだけではなくて、一部からずっと、じわじわと醸成されてきた会場の空気とか、次第に高まってくる歌い手や観客の想いなどが、本当に最後にピークに達した感じでした。
 
 
出演者順を決めた安達さんの直感がもたらした奇跡でもあるのかもしれません。
 
終わってみると、この順番しかありえなかった、という感じの計算されたかのような盛り上がりでした。
 
「アーティストフォーラム2017」の一番の見どころはここにありましたが、でも、ここだけ見ればいいというものではなく、全部を見たからこそ感じられた、見どころだったと思います。
 
今年来た方も、来れなかった方も、是非、来年、一部・二部通しで是非、見てください!
 
続く
  
文:遊部香さん
写真:真島由佳里さん

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